校長挨拶
「人宝鞠育(じんぽうきくいく)」という言葉があります。人は宝であり、その宝である人を養い育てるという「教育」の神髄を表した言葉です。
今や、グローバル社会は世界の隅々まで浸透し、私たちの日々の生活までもが世界の動きと密接に関係しています。一個人として、思うが儘(まま)に自身の意志を貫き生きることは難しい世の中かもしれません。
このような状況下にありながらも、皆さんは自身の未来を切り拓かんとして、進んで(選んで)日本を、そしてその歩みの第一歩を行知学園で始められました。その英断に敬意を表します。私たち教職員一同、人宝鞠育の精神で、皆さんの希望実現に向けて、ときには母のように皆さんを包み込み、そしてときには父のように巌(いわお)となって皆さんを守り抜く覚悟です。私どもの教育プログラムに則って、着実に歩まれんことを希望します。
文化(安らぎ)と文明(活気)の交錯した豊かな自然に満ちた国、それが日本です。活気あふれた大都会の息吹を肌で感じながら、古(いにしえ)の文化に満ちた古都の静けさの中に身を置き、ただ一人、静かに自己を見つめ、未来を夢見、そして進むべき道を模索するには最適な場だといえるでしょう。
両国の良好な関係を築くべく、未来ある皆さんのあるべき姿を教職員一同共有しながら、希望実現に向け、皆さんとともに歩んで参ります。
最後に、利他(りた)の精神を説き、新しい1万円札の顔となった人物、渋沢栄一の言葉を引用して、私の挨拶の締めくくりとします。
「勉強は、間断なく、根気よく、たゆまずに、死ぬまで続けてこそ意味がある。」 渋沢の言う勉強とは、強(し)いて勉(つと)める「勉強」ではなく、心を磨くことを指しています。行知学園で渋沢のいう「心を磨く」学びをともに実践しようではありませんか。